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今はなき越生酒造の来陽を求めて(おまけ):越生酒造についてのメモ

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特別編というか俺が後で見るためのメモみたいなもんだけど、一応 越生酒造についてわかったことのまとめを以下に記しておきます。 かつてはこんな無骨で無頼な蔵があったんだぞという記録として。

 

【今回の探索ツアーで聞いてきたこと】

  • 販路はほとんどなく実際に蔵に行った人しか買えなかった
  • 行った人も必ず買えるわけではなく「ついでに寄った」系だと売ってくれなかった
  • 酒を求めてやってきた人でも社長が気に喰わないと売ってくれないことがあった
  • 卸している小売店にも配送はしないので酒を取りに行かなければいけなかった
  • 気に入られた小売店は毎回長話(2hくらい)をされた
  • 濃い 
  • 銘柄に合わせての酒造りではなく、出来た酒の味を見て銘柄を決めていた
  • 基本的に濃い
  • 日本酒は全て(ほとんど?)醸造アルコール添加だった
  • 色んな種類の高濃度な普通酒ばかり造っていた
  • 濃い とにかく濃い

 

【タレコミ情報】

  • 卸は種類限定(だいたいは来陽のみ。気に入られると野武士が追加)で、しかも卸なのに買いに行くと延々と話をされる(一般客と扱いは同じ)
  • 杜氏さん一人で造っていて、蔵元は特になにもしてなかった(造りに関しては)
  • 不動産収入があるので酒造りは趣味だった(石高は50石もなかった模様)
  • 息子さんは歯科医で、継ぐ気も無かったし杜氏さんもご高齢のため引退となって廃業した
  • 埼玉県酒造組合がやっているイベント「埼玉36蔵の会」には、蔵数にカウントされているにもかかわらずブースどころかお酒すら出品しなかった。ちなみに、越生酒造の廃業を受けて、会の名称が「埼玉35蔵」になった

【2021/04/28@タレコミ情報追記

越生酒造にもいらっしゃったようですね。
私は埼玉県の東松山市が地元でして越生酒造の新井正一郎蔵元も数回会ったことがあります。
congiroさんの越生酒造忘備録は私が知る限り真実、もしくはおそらく真実です。
越生酒造忘備録に抜けていることとしては、「製造と小売りの免許は違うので小売りが可能かどうかをきちんと確認してから買いに来ること。」をよく言っていました。
ですので私は蔵元に「製品の見学のためにきました。」と言ってわざと買わないで店を出ようとしたら引き止められて「越辺」「野武士」を買わされました。この時が2005年ごろで亡くなる直前かと思います。
この野武士は今も所蔵していますのでイベントなどで出品も可能です。

他に、私が知る事としては、新井蔵元は酒を買いに来た客を断るときに、「酒は私(新井蔵元)のもの、お金はあなた(お客)のもの」と言って店の奥へ行ってしまい買わせないようにしていました。
来陽が欲しいけれども売ってもらえないお客は越生駅前の酒屋(congiroさんのブログに写真が掲載されています)で買っていました。
また、丸広百貨店川越本店(駅前のアトレではなく駅から遠いほう)地下の酒売り場にかなりの種類が販売されていました。
ラベルの表記に注意が必要なのですが、精白歩合での表記なんです。
来陽の事を記事にされているブログに精米歩合と勘違いされている方が非常に多いです。
ほとんどの酒が精白歩合35%です。
このことを「大吟醸と名乗らない名酒」など勘違いされております。
まあ飲めばわかると思うんですがね。

偏屈さは地元民には有名で、売ってもらえないので文句を言う人もいましたね。
最初からあきらめて小売店で買う人も多かったです。
ただ、きちんと事前連絡をして、常識的な態度で訪問すれば断られることなどありません。
若かった20代の私にも売ってくれましたから。
お客を見た目では判断しない人物でした。
congiroさんが書かれていますように強い信念をもっていましたね。

私もcongiroさんのブログを見て懐かしくなり、来陽のデットストックを探しましたが今のところなかったです。
もし手に入ればご連絡します。

情報をくださったenmtさんありがとうございます~! 

 

【来陽公式のログ一部抜粋】

日本酒はこうあるべきだと信じ、伝統の製造方法をかたくなに守り抜いているのが“来陽”です。
 そして、唯一の正統派だと自負いたしてもいます。
あらゆる民族が、それぞれ好みの味を持っていて、米から創られる清酒は、日本民族に一番好まれるはずのもの、又、米から創る以上、透明な酒が出来るわけがなく、黄みを帯びたものが清酒本来のもののはずです。

 清酒は昔から濃い酒が主流でした。和食は世界の主食の中で一番淡泊で、そのため日本人は昔から濃い味の飲み物を好む民族でした。来陽はその伝統の濃い酒を守ってきました。ですから、他の酒とちがって大変異質でのみ心地がよいはずです。あらゆる民族はその主食から創られたホンモノの酒を飲むと涙を流すほどオイシク感ずるはずです。

 現在、来陽には甘辛中間を含め二十数種のそれぞれ異なった味の酒がございます。コーヒー飲みも、モカ・ブラジル・キリマン・ブルマンなどと、時間をかけて自分のものを決める様に、来陽も各種の中からお好みのものをお選びください。
 なお、各銘柄の詳細については、文章だけではなかなか伝えにくいこともありますし、お客様の嗜好を尋ねさせていただくことでお奨めの一品が見つかることと思います。
ご足労ですが、一度当店までお越しになり、店主の説明をお聞きいただくのが一番の近道です。

山田錦
Oct 23, 2007
最近、結構インチキが流行っています。
比内鶏をつかっていないのに、使った様な宣伝をしていたり、まるっきりインチキな表示をしたりしています。
昔からこのてのインチキは多いのです。
例えば、コーヒーになりますが、ブルーマウンテンという品種があります。
キューバのブルーマウンテンという山の麓でごく僅かとれる品種ですが
まろやかだというので、かなり出回っていますが、実は極限られた地域の生産ですから、それほど量が出来ないのです。
多くはブルーマウンテンブレンドであり、純粋なブルマンはいくらもありません。
また100gあたり数千円という極めて高価なコーヒーです。
お酒の世界でも、かなり「山田錦」が出回っていますが、それほど生産量の多いお米ではありません。
去年も書きましたが、酒米として一番いいのは、八反とか雄町などの品種です。(昨年の10,11月参照
山田錦がいいとされたのは
ある種漫画の影響に過ぎません。
多分、漫画の作者が蔵元に行って聞いたとき、山田錦がいいと言ったのでそれが全国的に広まったのでしょう。
しかし、その山田錦にしても、生産量が少ないところに持ってきて、一等米から三等米まであるのです。
多くは二等三等米でしょう。
三等米の山田錦ならば他の二等米のほうがはるかにましな米です。
加えて、お米自体が自然の産物、いつも良い米が出来るとは限りません。
特に今年の夏のように高温の夏では山田錦は特に出来が悪い可能性が高いでしょう。
山田錦という米は高温にあまり強い品種ではありません。
本当に良いお酒を造るならば、もう少し寒冷地仕様のお米の方がいいお酒が出来るはずです。
一部には、お酒の出来はお米に左右されないとも言われますが、決してそんな事はないのです。
お酒はお米のでき次第。
7割はお米次第でしょう。
杜氏はお米が酵母菌で熟成されるのを手伝うだけです。
でも安心して下さい。
12月に出される生酒(きざけ)は多分、それほどの違いは分かりません。
なんせ生酒は発酵中。それほどの違いは感じられないのが普通です。
問題は今年良いお酒が出来たのかどうか判断するには、来年の夏過ぎでなければ判定できません。
本当に良いお酒が出来たかどうかは来年の今頃分かります。

 

【その他、テキトーなまとめ】

越生酒造についてアナーキーな話はあるんだけど、それだけをかいつまんで「エキセントリックな蔵ですよ~!」 って言うのはかなり違う気がするので、このくらいにしときます。実際に会ったわけでもないしな。
過去ログとか見ると、かなり信念を持って『自分の信じるもの』だけを造り続けてきた蔵というか人だったんだな~って思った次第です。
現存だったら間違いなくカルトな人気が出てただろうと思う蔵でした。