『大分の山奥の小さな酒蔵』こと、大分県竹田市は佐藤酒造より、(恐らく将来的には)次期杜氏になるであろう佐藤俊一郎氏を招いて千羽鶴イベントを先日行いました。
今回はその流れで「千羽鶴とはなんぞや?」を説明してみようかと存じます。
幹事の役得と言いますかイベントで残った酒はいただいたんで、持って帰って日曜にしっかり飲んでみたんですよ。そしたら蔵で試飲したときと表情がかなり違うんですよね。まぁ蔵で飲んだときと条件が違うんで当たり前っちゃ当たり前ですけど。
蔵では酒は冷やしてあり半分以上が口開け、家では常温で開栓して数日経過している。
そういう差異があってかだいぶこなれた感じになっておってですね。
試飲時に見えなかったものが見えてきましてね~。これがなかなかええのですよ。
そんな誰も知らない千羽鶴シリーズはどういう味わいなのか?
一言でいえばこれです。
『サイレント系』
このブログ内ではサイレント系と評した酒がございますね。
それらと同じ特徴を持っています。 congiro.hatenablog.com
派手な要素は無いので、外飲み酒というより確実に家でゆるゆる飲むタイプ。
外飲みで「美味い~!」みたいな酒ではなくて、家飲みで「ふぁ~(*´ω`*)」みたいな感じかと思います。
焼酎的に言えば、あるいは南九州的に言えば『ダレヤメ』酒です。
千羽鶴シリーズは全体的にそうです。
そのため、一発目で理解されるということは少ないと思うんですよね。
でも飲んでて飽きないし落ち着くし毎日飲むのには向いてる。
飲食店はどうしても『少なからずインパクトを持っている酒』か『知名度のある酒』か『酔える安酒』を求めているので、その範疇だと千羽鶴は残念ながらどれにも該当しておりません。
もし千羽鶴を置いても良さそうな店を考えるなら、あまり酒の種類を置かない常連向けの小料理屋なんかが向いてるんじゃないか?と思ったりしますね。
「いろんな酒を飲みたい!」ではなくて、ただこれだけを飲んでるタイプですよ。
飲み放題とかで色々置いてある中に千羽鶴を含めるとおそらく理解されません。そういう酒ではないのです。
俺が「素晴らしいなぁ~」と思った生もと・山廃、無濾過生原酒ですらそこまでインパクトを出していません。でも、これってすごい稀有なんですよね。突出しない穏やかな美味さこそが千羽鶴の個性・特性になってると言っていいでしょう。
だからこそあまり外に出ていかないんでしょうけど、こういうタイプは結構貴重なんですよね。
ところで、俺と千羽鶴の馴れ初めですが、大分県の久住(山です)に旅行したときたまたま通りかかって、「ほぇ~、こんなとこにも日本酒蔵あんのか~」って入ってみたら生酛と山廃が置いてありまして。
「えっ!?どう考えても焼酎か普通酒しか飲まれなさそうなんですが…」って、その時初めて会った佐藤くんに聞いてみたらやはり地元では普通酒しか出てないと聞きましてね。もともと日本酒を飲む人があんまりいない土地柄ですよ?そんな中で生酛山廃造ってたんですよ?意味わかんなくないですか?
しかも「生酛製造としては九州最南端」だということを聞いて、もうこれはギャグでも買うしかねーだろと期待せずに買っていったのですが、飲んでみたらあんまりないタイプの味わいで「え~!美味いよこれ!」と、まぁそんな感じです。
山奥で人知れずなんだかわからない挑戦をしてはいるが、そもそもマーケットが無いところで戦っておる佐藤酒造 千羽鶴。
俺はこういう酒こそ知ってもらえると嬉しいな~と思っとります。
はじめての方は、今年に限っては山廃純米をおすすめしておきますよ。
次BYはどうなりますかね~?
千羽鶴 公式HP
久住千羽鶴 佐藤酒造株式会社 大分県竹田市 日本酒