「いま暇?ドライブして飯食うとかどない?」
「空いてますよ~」
「桶、空いております」
「よっしゃ行くか~!」
というわけで男3人くんずほぐれつ濃密BLドライビン、はっじまっるよ~!
まずはどこ行くか打ち合わせのためファミ・レスへ。
「県外行っちゃっても良いと思うんですよね」
「今から行ける場所は、北(埼玉北部)、南(小田原とか江ノ島あたり)、西(甲府)くらいかね」
「よっしゃ!平塚行きましょう!平塚!」
「平塚?行ったことあるの?」
「ないです!海見に行きましょう!」
「お~、そうするか~!」
「異議なし~!」
「現地でおっちゃんがやってる、グーグルマップとか食べログで3点以下の寂れたラーメン屋とかあったら行きたいねぇ」
「寿司食べましょう!寿司!」
「寿司良いねぇ~!」
というわけで出発なのです!
ときどき暴風雨に見舞われながら先へ先へと。
車内のラジオでは、中田英寿が日本酒の魅力について語る番組をやっており、今回は利き酒師やサケディプロマなど、日本酒資格について喋っていた。
「土曜のこの時間は中田がいつも日本酒の話してるんだけど、聞いたことある?」
「ないっす」
「僕もないっす」
「でもさー、俺くらいのステージの人間が無資格ってちょっと悔しいんよね。努力はしたくないけどポテンシャルだけで取れる資格がほしい。だから俺らで資格作るしかなくない?なんか”酒ウタマロ”とかさー。」
「試験の内容どうするんです?」
「レンチンで70度にした熱々徳利を素手でつかむとか」
「酒造好適米を箸で掴むとか?」
「精米歩合で難易度が変わるw」
「どれも知性ゼロっすね。もはや男塾の世界w」
「ところで寿司屋とかあるの?」
「平塚にはありそうですよ」
「海沿いにないかな~?ばあちゃんが深夜にひとりでやってる3.0以下のしょぼい店」
「海沿いには無いっすよ!」
「congiroさんは高望みしすぎですよ!」
「高望み…」
平塚新港に到着。
なお、このあたりは相模川と相模湾の境界線より川側なので潮の香りは殆どない。そして雨は上がったものの風がめっちゃ強くて弱めの台風くらいある。湿度も凄まじい。
「なんかこんな(悪天候の)中でも釣りやってる人多いですね。」
「何釣れるんだろうね?」
この湘南大橋を超えたちょっと先あたりが海の入り口。
しかし、足を取られそうになるレベルでめためたに風が強い。
「夜の海、良いっすね~」
「いいね」
「何するわけでもないけど楽しいっすね」
夜の海には何をするわけでもなく”夜の海”に惹かれて集まる人たちがチラホラいた。
周囲に開いてるところは1軒のBarしかない。
Barも駅から遠く人もまばらなこの場所でどのような客を待っているのだろうか?
「辻堂の方に5:00までやってる磯料理・中華の店があるらしいですよ。そこ行きましょうよ!」
「そうね、ワンチャンばーちゃんが寿司握ってくれるかもしれないしね!」
「まだ言ってんのかよw」
辻堂の海岸あたり。
目的の店は休みだった。
「とりあえず海行きましょう」
「行こう」
「テントたくさんあるね。遊んでんのかな?」
「なんか設営してるみたいですよ」
月明かりとテントの照明と遠くに見える花火以外、光は何もなく、友人と少し離れただけでどこにいるのか分からなくなる。
「海はいいね」
「良いっすね」
「メチャ楽しいっす」
何もしていないけど、月と風と海だけでこんなにも楽しい。
湿度が高すぎてメガネが曇る。
メガネを外すと世界はぼんやりする。
蒸し暑いし、ベタベタする。何も見えない。だけど、良いのだ。
結局、俺たちは平塚と辻堂の海で2時間以上滞在していた。
「駅前行けば寿司あるかもしれないですね」
「よっしゃ、辻堂・茅ヶ崎・平塚回るか」
結果的にはこのご時世下もあって、開いてる店はチェーン店と頑張る風俗店のみで、今の俺たちを満たす店は全く見当たらなかった。
帰りの車の中では弊社お抱えのDJによるリクエストアワーでみんな好きな曲を流しまくっててそれも楽しかったな。教えてもらったこれがすごく良かった↓
Kidkanevil - My Little Ghost [Album]
結局、飲食店は見つからないままスタート地点に戻ってきた。
困ったときの中華!中華は正義だ!そんな朝3時半。
朦朧とした中で食べる想像の範疇を超えないラーメンは特別な味だった。
店を出るころには夜が明ける。
さて、全員送って帰るか。
送り終わって家に帰ると、時計は6:30を指していた。
ドアを開けるとマイサンがお出迎え。
「とうちゃんおかえり~」
「ただいま、相変わらずはえーな。何やってんの?」
「マインクラフト」
「ふ~ん」
シャワーを浴び、布団に寝っ転がって写真でも見返そうとスマホを握ったところで事切れるも、蒸し暑さゆえ3時間後に強制起床。世界は相変わらず朦朧としていた。
~終~