SakeUnderground #2で出した『薫るフーミン酒/本物の辛口酒』とはなんだったのか?ってのを書いておこうと思う。たぶん飲んだ人はそれが何だったのかもわからんかったと思うので。最初に書いとけよ!って話でしょうけど、時間的制約と誓約があって無理やったんや…しかもホストなのにクソ忙しくて現場では全く説明もできない始末w
というわけで、相変わらず人様の写真をお借りします。
まずはAコース(高濃度モーニング)のプレート
『薫るフーミン酒』はご時世的に123種類のブレンドでひふみん酒にしたかったものの、さすがに123種用意するのは無理なので、23種のブレンドで妥協したスキスキスーな(バス)ロマン薫る逸品となりました。
AコースもBコースも同じく23種類の酒(主に古酒)をブレンドしたものを使っておる。で、Aコースは香りを重視して山椒を浮かべた。これは俺が家でたまにやってるんだけど、結構いいのでお前らもやったらいいんじゃないかな?特に古酒は相性がいい、っていうか古酒か料理酒でしかやったこと無いけど。
まぁアレや、麻婆豆腐食いながら紹興酒飲んだりするやろ、あんなのにイメージは近い。特に俺の作ったブレンデッドとの相性はとても良かった。今回は山椒を使ったけど胡椒とかも結構イケる。
んでBコースのプレート
そして『本物の辛口酒』辛口論争に終止符を打つべく真打ちを惜しげもなく投入!そう、本物の日本酒は辛いんです!
これもさっきのブレンデッド古酒で、そこに鷹の爪を浮かべたやつなんだがな、この『本物の辛口酒』はBコースの趣旨が”辛口”と先に決まってしまってから生まれた逸品なんよね。
「辛口酒特集やろうぜ!でももう既に古酒りまくってるから辛いんだかなんだかわかんないっていうの面白くな~い?」みたいな感じで「じゃー、辛口酒と辛いおつまみ出そうか~!」と相成りまして。コンセプト先に決めるといろいろ動きますからね。
んでよ、辛口のおつまみと辛口酒だけ用意して終わりのつもりだったんだけど、そうするとどうみてもAコースの火落ちまつりに比べてBコースは『辛口』というだけで明らかに圧が弱いんですよね。というわけでそこからが物語の始まりです!イエー!
そこで俺が何をしようと思ったかというと「古酒でコーレグースみたいの作ったら面白いかもな~、そんでそれカステラに浸して食べさしたらもっと面白いかもしれないな」という感じでありまして。
これは家にあるコーレグースと唐辛子入りビール見てなんとなく思ったことで、カステラの下りはマデイラエントラーダでマデイラ浸しカステラ食って美味しかったのでいっちょやってみようかと考えたわけでございます。
で、コーレグース作るなら島とうがらしでやりたいなと思ったけど、近くに売ってなくてさ。わしたショップにあるかもってことで銀座まで行ったわけですがー。
生の島とうがらし欲しくてわしたショップに行ってみたけど無かった。聞いてみたけど生はほぼ入荷しないとか。どっか売っとらんかな〜
— congiro (@congiro) May 24, 2018
結局、島とうがらしは見つからんかったんだけど、家に帰って俺のマイワイフにそれ言ったら「冷凍庫に(結構高い)唐辛子入ってるよ?」って言われてですね。見たら立派な唐辛子がワンサと凍っておりまして。そんで実験開始となったとです。
実験くん pic.twitter.com/aBuOsMLsK4
— congiro (@congiro) May 26, 2018
このときに試作品として作ったのが生唐辛子&古酒、生唐辛子&料理酒、乾燥唐辛子&料理酒の3つ。(ちなみに料理酒もかなりイッてて茶色に近かったけどな。まぁウチ内ではまだ料理酒扱いでよかろう的な。)
で、翌日に試飲してみたところ・・・
生唐辛子&古酒→アレッ!?これは生臭さはかなりあるけど美味くないか?
生唐辛子&料理酒→生唐辛子の生臭さダイレクト!これはなかなか厳しい!
乾燥唐辛子&料理酒→これはいいな。生臭さがなくて辛さがいいアクセントになる。
翌々日
生唐辛子&古酒→辛い!生臭さは古酒のおかげでマイルドになっとるな。
生唐辛子&料理酒→生唐辛子の生臭さダイレクトかつ辛すぎる!
乾燥唐辛子&料理酒→辛さ増したけど変化はあんまないな。
っつーわけで、面白さと美味しさを兼ね備えた生唐辛子&古酒でやることに決めたわけです。この時点でコーレグース的な物作ってカステラ浸しとかどっか飛んでった。「もうこれ自体を飲ませたほうが良いじゃん!」って。
しかし、ここで問題が。
ベースの古酒が足りない…
あ~、どうしよ、かなりブレンドしまくった傑作だったんだけど…
無いなら作るか…
というわけで新たなブレンデッド古酒作りが始まりました。
ブレンド古酒の作り方…序盤は適当に、とにかく適当に混ぜる。
高そうなのも混ぜる。
みりんも入れる。このみりんは普通に飲んでるけど美味い。
勢正宗、義侠、富久娘、福正宗、舞鶴鼓、羽根屋、甲子、味庵、手取川、龍勢、黒牛、達磨正宗、岩の井、麗人、奥の松、花垣、金冠黒松、白鶴、東力士、みりん
この時点で20種類。ちなみに白鶴は2部で出した30年オーバーのやつ。
で、飲んでみると…
う~ん、ピントが合って無い系やな。
こういうときは料理酒入れて、キレ出すために甲類入れて…と。
しかし、色が足らんくなったな…
貴醸酒入れるか。
というわけでトドメの三種がこれですね。
あとまぁ隠し味にちょっとしたことをやったりしとるわけですけど、これでなんとなく形になりました。
完成~!
素晴らしい色!売ったらいくらするんやろ?w
翌日試飲したら完成時よりまとまって単純に美味いものになっておりました。
ただ、生熟が多めに入っとるから生っぽい薫りがしてウケるw
ほんで、生唐辛子を漬け込んで…ってやるんだけど、どれくらいの期間が良いかって同時進行で色々実験しとったんですよ。ようするに日をおいて新しいやつ作って味の違い見てたわけさ。
で、ま~これがなんとも言えない。
半日~1.5日くらいの新しいやつはフレッシュな生唐辛子の鮮烈さがありつつ、そして生臭さはかなり古酒が巻き取る。良い感じとも言えるんだけど、色々要素が強すぎて味がマニアック過ぎる。
1.5~3日目のやつ、これは最初のとそこまで変わらんけど、明らかに辛すぎるな(俺は全然平気)。薫り的にはマイルドで生唐辛子の生っぽさを残しつつもちょっとだけバニラのような風味を感じる。結構良い。
7日経過のやつ、あ~、これはコーレグースのあの感じやな、美味いけど生使ってる理由が減ってる感がな~。まとまりはかなりいいが魅力がちょっと減る。
で、こういうことやり続けて結局どこに落ち着いたかっつーと、生唐辛子を軽く素焼きして漬け込んで半日~1日経過くらいまでのが鮮烈さも荒々しさも残って辛さも十分!お手軽!ということになりました。
詳しくは書いとらんが、素焼きのやつもどれくらいの期間漬け込むのがちょうど良いのかとか、素焼きの加減とかはかなり試した。
ええ色やろ?
しかしこれは実験しまくったおかげで冗談抜きに美味い。みんなやればいいよ。
なぁに、失敗しても辛さが持っていくからそこまで失敗っぽくは感じないゾ!w
むしろ口に合わなかった失敗系の古酒とかはこうやったらなんとかなっちゃうぞい!
で、これはワイングラスで飲んだほうが薫りが分かって良いんだけど、イベントのときはそもそも一人あたり量もそんな入れられんし、ワイングラスもそんなに用意できんからおちょこになったわけですよ。んで、『本物の辛口酒』と名乗るからにはビジュアルも重要かと分かるようにわざと唐辛子を浮かべておいたワケさ。
ひょっとすると「唐辛子入れて辛口酒とか馬鹿にしてるんですか?」くらいに思われとるかもしれんけど、一応こんくらいのことはやっとったりする。つーか、原価だけで相当なアレですよw ま、でも俺はプロじゃないしバカっぽく見せるほうが好きなので、当日はこういうことは特に言っとらんけどな。
Aコースに対応するために作られた『本物の辛口酒』なんですが、Bコースにだけ手作りブレンド古酒付けるのもアレかな?そもそもBの注文そんな無かったし…
で、結局Aコースにも『薫るフーミン酒』として付けることにしたのでプレートはどっちのコースも結構豪華なことになった。
ちなみにAコースの『薫るフーミン酒』は最初、胡椒(粒をハサミで割ったもの)にするか山椒にするか迷ったけど、ポテサラに胡椒かけるから山椒にした。まぁでも古酒には明らかに山椒のほうが相性が良かったってのが主な理由だけど。
ところで山椒はあんま長く漬け込むと良くなくて2時間くらいがベストだったので、当日会場入りしてから手を付け始めましたね。めちゃ忙しくて死んだw
当日、飲んだ人にどんなだったか感想聞きたかったけど忙しすぎて無理でした。
ま、ツイッターではちょいちょい声が聞けたのでとりあえずは満足です。
さっき飲んだ辛口酒、辛口はもうこれでいいんじゃないかな pic.twitter.com/NzJHQ7CCX1
— ちょいあー@自称会社員 (@quartette) June 9, 2018
とりあえず辛口論争に終止符は打てたということで!
打てた打てた!
日本酒に辛口はありまぁす!(物理)
日本酒に辛口はありまぁす!(物理)
日本酒に辛口はありまぁす!(物理)
というわけで「みんなももっと物理学を学ぼうな!」という教訓でした。
次回、プレートの食べ物とか、もらって嬉しかったお土産のこととか書く。
まて次号!