
アルゴです。
月桂冠が出したアルコール度数5%の日本酒でございますね。
先日このエントリの下部で以下のように語りました。
アルゴは先日ひらので飲んだときに店長の瀬川くんが「アルゴすごいから飲んだほうがいいですよ!」って教えてくれたから買おうと思っとったんよね。
そしたらTwitterでまるっきり逆の感想で超話題になっててw、これはいよいよ買わにゃいかんな!と思ったもののウチの近所で売ってなくてですね。
Twitter(X!)ではその該当の書き込みは削除されているけど、要約すると「アルゴまずい!蔵潰れろ!」ってものでした。俺はそれ見たとき思わず笑ってしまいしたがw
だって、ひらのの店長の瀬川くんが「すごいから飲んだほうがいいよ!」って言った次の日ですよ?笑うでしょ、こんなん。
でも、そういう話題(まずい蔵潰れろ)が出てからというもの日本酒クラスタは興味出まくって、アルゴはちょっとだけ話題になりましたね!
『悪評も評』の好例というか、俺も必死になって探しましたからね。第三者が引き起こしたとしても別種の炎上マーティングのプチ成功例と言えるかもしれません。
んで、一旦、小さいサイズのやつを買ったんだけど、300mlでは一瞬で飲みきってしまってよく分からなかったので、後日720mlを2本ほど買ってきたわけですね。
なので、飲んでの感想と、なんでこんな極端な反応があるのか?ってのと、低アル日本酒についてのなにかと、アルゴいじってみたらどうなった?ってのと、雑感と…まぁテキトーに語りますわ。
■アルゴを飲んだ感想

congiroさんのファーストインプレッションは…
「すごいな!」でした。ひらのの瀬川くんと同じ感想ですね。
なんでこういう感想になるかっていうと、単純にいろんな日本酒飲んでるからです。
ウマいマズい目線で言うなら「決してまずくはない、ウマいっちゃウマい部分もある」ってなりますかね。
なんでいろんな日本酒飲むと「すごいな!」って感想になるかっていうと、ほとんどの蔵がここまでの低アルにはチャレンジしてないし、それをやったとて、ここまでのレベルには至らない可能性が高いからです。しかもそれをいきなり全国展開ですからね。すごいですよ。
ところで低アルコール日本酒ってここ数年のポッと出とかではなくて、アルコール離れが叫ばれるよりも昔から地方の小さい蔵でもチャレンジしているところはありました。売れたという声は一切聞きませんでしたが。
で、低アルってだいたいは以下3つくらいに分類できますかね。あくまで俺の感覚だけど。俺の感覚な。
【1】通常の日本酒よりもちょっと低い度数のグループ(だいたい13~10%あたり)
【2】明らかに低いグループ(だいたい10~8%)
【3】スパークリング系に見られるもっとも低いグループ(だいたい8%以下)
通常の日本酒がだいたい15~17%くらいですかね?それに比べると、【1】は3~5%しか変わらんのですよ。とはいえ、こと醸造酒に至っては1%の違いは大きくてですね。
味が全然ちゃうんですよ。
で、多くの蔵がチャレンジできるのは【1】です。小さな蔵でもたまに見かけます。
味はどんなんか?っていうと、割と薄酸っぽく水っぽいのが多いですかね。薄酸っぽく水っぽいって言ってるのはまぁ失敗に分類できると思うんですけども、成功しているやつは酸っぽく水っぽい感じにならないように風味の調整をしておりますね。失敗じゃないやつはだいたいは甘酸っぱ目のフルーティー寄りですかね。ていうか、現状だと薄酸っぽく水っぽいを回避する術がフルーティー寄りにする他ないんですが。まぁ日本酒としての体裁は保たれておりますね。
えっと、なんというか、通常のラインの酒を低アルにしようとすると薄酸っぽく水っぽい感じになって、完全に新基軸としてその度数で造ったものはほぼ甘酸っぱフルーティー系でなんとか成り立たせているという印象です。
とはいえ成功しようがしまいが別にどっちも俺は好まないのですがw
白麹使って「白ワインっぽい!」と言っちゃう酒がこのグループに結構ありますが、白ワインの解像度が低すぎるし、まぁたいていハズレと言うかアタリを飲んだことはないです。
【2】このグループは「アルコールらしさ」に頼りづらくなるため、日本酒がもつ日本酒らしさからはどんどん離れてきます。
このグループでフルーティーに寄せてないのは皆無に近い印象。
アルコールに頼らなくなると(頼れなくなると)、日本酒らしさ、ないし酒らしさからは遠ざかりますね。ここらへんは意外と買ってる人も見かけるんですけど、なんか常飲レベルで売れてるという声は聞きません。まぁなんつーか、お土産で買うとかお試し買いとかで見るかなって感じ。【1】と【3】の中間みたいなのを狙ったものになりますけども、そんな市場がそもそも無いので「なんなんやろ?」という感じではあります。
【3】ここまで来るともはやシャバシャバになるので、炭酸に思っきし頼れます。そしてこのグループには思っきし売れてるのがございますね。澪とかすず音とかです。
まじで炭酸って威力強くてですね。マスクできる要素が多い&強調できる要素が多いので、【1】【2】が抱えていた欠点を無かったことに出来るんですよね。むしろ度数低くて良いまである。なので【2】で炭酸入りスパークリングってのも見かけます。
ただまぁ、これは日本酒の味から限りなく遠いので、【1】【2】で各蔵が取り組みたかった「(いわゆる日本酒らしい)日本酒の人口を増やしたい」の入口にはなりえません。ゲートウェイドラッグならぬゲートウェイドリンクにはなり得ませぬ。難しいですね。
んで、ここにノンアル日本酒っていうのもあって、ホントはそれを【4】としたかったですけど、アルコール入ってないので別モノとします。
これは思ったより需要があって愛飲している人がいます。不思議。
味は日本酒からはめちゃんこ遠いですけど、ある意味で日本酒のダメなところの再現はちょっと出来てて、むしろ合成清酒に寄せてる感じがするため、ハードドランカーの逃げ道になっとるんかな?と想像しておりますが、市場動向がよくわからんので不明です。
で、ここで月桂冠が満を持して出したのがアルゴで、スパークリングでもない5%を出したんですよ!
炭酸に頼らず日本酒としての未来・生き残りをかけてきた!?
ともあれ今までにはないチャレンジですよね。
俺はそう感じたし、俺にアルゴを勧めてきた居酒屋店主(ひらのの瀬川くん)もおそらくそう感じたから、そしてそれを飲んで想像を超えた出来だったので「すごいな!」って感想になったわけですね。
そういうバックボーン無しのブラインド飲みして感想求められたら、前述のように「決してまずくはない、ウマいっちゃウマいかも(買わんけど)」って答えますね。素直に。

■味自体はどんなんか
カルピスウォーターともスポーツドリンクとも桃系の低アル日本酒ともりんご系の低アル日本酒とも言えるかも。スポーツドリンクっぽいといえばぽくはあるが、それよか果実味(特に柑橘み)を感じやすいかな?俺は。
柑橘系なんだけど、グレープフルーツの酸味弱くして渋みなくしたやつor弱りんご酢が一番イメージしやすい。
温度が低いほうがアルコール飲料としての弱みがちょっと見えるかもしれん。
燗すると、カルピスウォーターっぽい。甘みを減らしたカルピスウォーター。
カルピスウォーター&みかん汁&りんご酢を混ぜてイイ感じに調整したらこれっぽい味になるかも?他要素が強調されて弱みが目立たなくなるので実は燗のほうが向いてるのかもしれん。
キレ系ではなくて速やかに消える系。アルコール特有のキレではなく、存在がフェードアウトする系。
割と『かき氷シロップ理論』と言うか、ラベルを桃っぽくしてたら「桃みたい!」って言うし、ラベルをりんごっぽくしてたら「りんごみたい!」って言うし、ラベルをスポドリっぽくしてたら「スポドリみたい!」って言うでしょうね。
そう考えると、これは比較的スポドリっぽい見た目なのでスポドリっていう印象多いんじゃないでしょうか?SNSではそういう声比較的見かけましたね。
俺はその前に同じく月桂冠の低アル(桃系ラベル)飲んだばっかしなので、それっぽいと思いつつ、リンゴ酢っぽさあるのでリンゴ系かなって思いました。そんでその後にSNSでの評価見たのでスポドリっぽいよなと思ったし、カルピスウォーター薄めたやつっぽくもあるなと思いました。
まぁこの味だと見た目のイメージに思っきし引っ張られそうな感じはあります。
色だけでその味に感じてしまう…すなわち、かき氷シロップ理論ですw
■大手のジレンマ
あくまで俺の場合は…という話であるが。
アルコールを飲みたい人というのは「アルコールを飲みたい」わけであって、美味しい液体を口にしたいという理由は副次的なものでないかとは考えているわけです。
アルゴはアルコールを低くすることで様々な問題を解決しようとしているんだけど、様々な問題を解決する中で様々な別の問題が生まれてしまったような感じもある。
何のことかって言うと…
・低アルコール日本酒造るぞ!
・美味しさを考えないといけないな
・美味しいだけなら造れるんだよな
・しかしハマる要素が必要なんよな
・それにはアルコールが必要なんよね
・しかしアルコールは現在あまり必要とされていないね
・でも日本酒として売りたい!
などなど挙げればキリが無いけど、こういうジレンマだらけの状況でマス向けの商品を造って何とかしようともがいているのが大手企業でございます。
んで、これを考えるのが大手企業だけなのはなぜか?
なぜならば自社で抱えている人数が違うから、また歴史を担ってきた自負があるから(たぶん)、これからを見据えていかないといけないわけですよね。
これが零細であれば、ただひたすらに美味しさだけを求めていけるわけで。数々のジレンマを無視できる立場だし、マスを考えなくて良い立場であるからね。
業界の将来、社員やスタッフさんの生活もかかっている状況だと小さな自尊心よりも大局を見なければいけないわけであります。
大局を見るのは大手しかできないし、大手の自らに課した義務のようにも思えるわけですな。たぶん、メイビー。
■アルコールの存在意義的な話
低アルないしノンアルで日本酒の表現をしようとしたら、アルコールに頼れない分、違う解釈で追求せざるを得なくなる。
それが昔のおっちゃん酒とか合成清酒みたいなものを低アル・ノンアル系で目指したならまた話は違ったんよな。
現にちょっと昔の低アル・ノンアル系はそっち側を表現しようとしてたから、もったりした甘みとちょっと(ちょっと?)のアミノ酸っぽさがあって、まぁこれは素直に不味かったよw
でも『昔のおっちゃん酒とか合成清酒みたいなもの』の表現はできてた。マズいけどw
アルコールでマスクできていた要素が取っ払われて、ただ薄っすらマズい水だったのでまぁ飲めないw
飲めないけど”なんとなく日本酒に近いもの”はできていた。
で、現代のフルーティ日本酒やクラフトサケみたいなものだったら低アル・ノンアル系でも近づけることが可能なわけですよ。
原理的にはフルーティー(要するに甘酸っぱい系)にすればいいのでね。
でもアルコールが微量ないしは含まれていないそれはフルーティー(要するに甘酸っぱい系)な飲料水ですよね。
低アル・ノンアル系でも現代日本酒には近づけることは出来る、が、それはまったくもって日本酒ではなかった。
美味いちゃ美味いけど、それは日本酒でもなんでもない。みたいな話ですね。
苦み、渋み、しわみなどという比較的ネガティブっぽい要素はアルコールがあることでマスクすることも出来たし、なんならアルコールはそれを武器にすることも出来た。
しかしアルコールが無いと『比較的ネガティブっぽい要素』は消し去らないと、ただの『ネガティブ要素』になってしまうわけですわ。
アルコールに頼れる要素ってのが、アルコールでしか表現できない要素でして。
低アル・ノンアル系の『昔のおっちゃん酒とか合成清酒みたいなもの』はある意味で不味さをもって&ネガティブ要素だけで日本酒らしさを担保した。
低アル・ノンアル系の『現代日本酒』は美味さを追求してフルーティー清涼飲料水になってしまい日本酒らしさを一切担保できなかった。
で、アルゴは徹底的に(アルコール飲料だけど)アルコール飲料らしさを消し去ってる感があるので、それについては大丈夫だろうか?とは思ったりするわけですね。
だってフルーティー清涼飲料水だったら他にうまいのたくさんあるし…
■アルゴをいじってみる

俺は、アルゴにアルコールを添加することで飲み応え増すのかな?って思ってやってみたんだけど、結果どうなったかと言うと…
「確実に日本酒然としたが、しかしアルゴが求めるものとは違うものになって日本酒の初期地点に戻った」
つまり月桂冠のチャレンジ前の状態になったわけですよw
日本酒然としたというのは俺の中の遊びにおいては「楽しかったし良かったね」ということで正しいことなのだが、結局これは「日本酒業界が抱えている問題ってなかなか難しいな~」、と感じたわけですね。
アルゴに醸造アルコールを添加すると、日本酒に求められる『飲みごたえ』は出てくるか?っていうと、それは確実に出てきます。何ならこういう日本酒はあるかもしれないみたいな味になる。
しかしこれは…
・5%という制限下で
・現代人に
・どうやってアルコール飲料を
・日本酒として
・飲ませるか
みたいな命題で生まれているものだろうからこうなるんよな。
現代で求められているものを制限付きで実現しようとすると全く違うものになってしまうジレンマよ。
■蛇足@日本酒の構造的問題みたいなアレ
先日、このエントリではこう語った。
カルディで売ってた酒について「語らない味わい、だけど会話は進む味」と以前評したことがあるんですけど、全般的にそういう感じです。
マニアでない人に「ワインはどこで買ったらいい?」って聞かれたときの回答、あるいは想像の範疇内のテキトーに美味いワイン即買いたいってときは俺はカルディ選びますね。
ところで「日本酒にはそういう”店は”あるんか?」
→ないです。
少なくとも俺の考える範囲ではないですね。
別に日本酒がダメって言ってるのではなくて、構造上難しいってだけです。
日本酒は『構造上難しい』ってのは何を言っているのかというと、ワインに比べに日本酒は「これが日本酒です!」と断言できる方向性がないってことですね。
アルゴのような低アルもそうだし、昔ながらの旧世代おっちゃん酒も、新政みたいな新時代酒も、高級路線を狙う新興系酒も、congiroさんが愛するひおちんも、etc…etc…、それらすべてが『日本酒』の一言でまとめられます。
かつてこういうエントリ立てたんですけどね↓
日本酒は美味いところから出発していないと思うんよね。
というか、おそらく全ての酒の起源はそうじゃないだろうか?
「アルコールを造るために原料が必要だっただけ」みたいな感じで。
俺の完全な想像であるが…
アルコールはアルコールであることが重要で、味は付随する要素だった。
それから時が経ち、「味が最も重要である」みたいに発想させる酒も出てきた。
みたいな感じ。
んで、日本酒だけではないが『美味しくない要素を残している』酒って結構あって、それをその酒のメインとしているものもあれば、それをバランスで存在させている酒もあれば、それを隠している酒もあるわけです。
①『美味しくない要素』をメインとしている
②『美味しくない要素』を存在させている
③『美味しくない要素』を隠している
ワインは②がメイン、ビールは①がメイン、蒸留酒は概ね①②がメイン、という中でも日本酒は①②③が存在している状況で最もカオスであると言い切れるわけですね。
日本酒は現状勢力が①だけど近いうちほぼ絶滅する。その次が②で、③は勢いはあるけどメインではない。
そしてネットで日本酒を語る人は、③≧②>>>①、こんな感じなんよね。
一番日本酒が売れている市場はスーパー・コンビニで、そこで一番の売れ筋は①>>>②>>>③と逆なんけど(むしろ③はない)、アルゴなどの登場によってやっと③がスーパーやコンビニに常時現れるようになったわけですね。
で、そのジャンル内で多様性が発生してしまったものはひとまとめにすることが難しくなるから、「構造上難しい」っていう発言になってしまうわけですね。
アルゴの登場は、更に混迷を増す要因になりうるので、混沌大好きマン!のcongiroさんは嬉しい反面、構造はスゲーわかりにくくなってきましたな。という印象です。
■さいごに
アルゴは誰向けの商品になるのか?
・現状の日本酒がキツくなってきた従来の日本酒愛好家向け?
・日本酒を飲んでこなかった「飲み応えが要らない」人向け?
後者向けとするならラベルがあんま良くないかな?とは思う。
理由は、ラベルが前者寄りのアピールになっているから。
しかし…前者はこれを求めているのか?謎。

その人の立ち位置によるので、アルゴみたいな酒を「マズい、蔵潰れろ」という人がいてもまぁおかしくはない。
そもそもアルゴが日本酒に分類されていなければ、この発言者はアルゴを飲んでないだろうし、仮に飲んだとて「(このジャンルは)そういうものか」になるわけです。
だからまぁそんなもんです。
まぁ俺は売上を見ないで俺個人の主観だけでこのエントリを書いたから、実際に売れてたら完全に見当外れだし、そうなってたら(見当ハズレで売れてたら)良いなとは思っております。
アルゴは選ばれるのか?残り続けられるのか?
現状の知名度の低さ、種類の少なさそして良くも悪くも明確な弱点を含んでいないところ…それらを鑑みるとちょっと難しいような気もする。
外観から味が想像できないっつーのも弱みのひとつだとは思う。
それでも、売れたら良いな!とは思っております。
まぁでもこれを実際に出したのはスゴいよ。まじで。
以上。
ちなみにこのエントリは、10月半ばから箇条書きとかメモとかの走り書き溜め込んでしまったので、どうにか文章化してまとめたものです。
あまりに大変すぎたのでAIにまとめてもらったらメチャ希望に満ち溢れたスッキリした内容になったのでそれは全然採用できませんでしたw
冗長な表現を好む俺とAIは相性良くないですね!
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