あのcongiroが、酒と旅と○○を大いに語る!ブログ!

酒と旅と散歩とか日々の記録ブログです

【昨日の続き+脱線!】老舗酒造が起こしたアレについて

アップするかどうか迷ったけどアップする。
昨日の続き。


その前に…。
これを書いて下書きのままアップするか迷ったまま数日経った。
その間に『日本名門酒会本部』がコメントを出していた。
ちなみにメルマガではもっとしっかりした内容のお詫びとお知らせが来ていた。
それは置いといて、俺が書いたのはもうそのままアップする。




まずね、俺はね、「商売は誠実である事」とは思っているんだ。
その上で、「どういう阿漕な商売があったとしてもそれはそれ」とも思っている。
だって現実にあるんだもの、しゃーないやん。
基本理念としては前者である事が望ましいと思っているし、自分自身ではなるべく後者のような商売には近づかないようにはしてるけども、存在しているというのは需要があるからであってね。
そもそも、誠実と阿漕のラインがよく分からんのよ。
うまい棒1本だって、「安い!うまい!素晴らしい!」と思う人もいれば「1円以下で作れるんだろ!高いよ!」と思う人もいるかもしれない。
500円くらいで買えそうな壷が「幸せを呼ぶ!」をウリに1億円で売ってたとしても「誰が買うかボケ!」の人もいれば「本当に幸せになりましたわ!」って人もいるんだ。
理念レベルの判断基準は各個人の脳内にしかないのだ。
ま、もっとも、今回の件は例に挙げたものとは違って騙しにあたるので、需要のある行為ではないんだけどね。


今回のことは酒をある程度知ってる人しか意味が分からんと思うので、他のものに例えて分かりやすく言おう。
・自然食品がウリのレストランで実は化学調味料とか合成なんちゃらを使ってました〜!
・国産品とうたっていつつ実は外国産でした〜!
それに近いです。
知らなかったらまず気づきませんし、自分が利用していなかったらなんとも思わなかっただろうけど、確実に信用しなくなるよね。


その上で浪花酒造の件を書くと、悪い事とも思いつつ、実はそんなに悪い事でもないんじゃないかとも思っている。
ルールを破ったことは確かに悪い。
モラルにはラインが無いから、その代わりに法がある。そして法を破った⇒悪!ではあるんだけどね。
じゃあ、法が無かったらどうか?
実際のところ、「味に大差は無い」のかもしれない。もしくは誤差の範囲かもしれない。それは良く分からない。
例えば、今回の行動が毎年同じような味にしようと思って配合を変えてみただけの事であればどうか?
実はアル添する事で美味しくなっていたとしたらどうか?
もはや味では判別つかないレベルであったとしたら?
発覚してなかったら評判の蔵(実際は知らん)のままだったかもしれない。
美味しいか美味しくないかではなく、結局はルールを破ったことに今回の問題があるわけ。
結局さ、この事に苦言呈している人たちも、発覚したからこそ言えてる訳でしょ。
製品をただの製品と見た場合、モラルなんつーものは何の判断基準にもならんし見えもせんし、ただの矜持でしかないって事ですよ。


ここら辺の問題は結構難しくて、日本酒蔵は従来のように日本酒蔵であるべきなのか?それとも企業であるべきなのか?そういうのでも結構変わってくると思うのですよ。
従来の日本酒蔵であり、これからも日本的な日本酒蔵であり続けたく、そして消費者もそういう日本酒蔵の造り出す日本酒に幻想的ななにかを見出していたとしたら、ある程度はブラックボックスでも構わんと思っているというか、生産者も消費者もまぁある程度は知らん事があったほうが良いんじゃね?みたいな感じですよ。
日本酒蔵が潰れるか潰れないかというご時勢、その瀬戸際から時に生み出される芸術品のような日本酒になんぞ思いを馳せ、酒を語り合い、熱狂的な信者を生み出したりするのも嗜好品の嗜好品たる真骨頂かと思います。
しかし、日本酒蔵が企業であるためには、またガラリと方向性が違ってくるよね。
企業は永続せねばならんという第一使命があって、社員を雇って製品を売って会社を大きくして。ひとつの理念を元に会社を成長させること、それ即ち社会貢献。これが企業ですよ。
そのためにはコンプライアンスもちゃんとせねばならんし、消費者に対しても数字レベルで誠実に対応していかねばならんのですよ。
前者と後者ではどれくらい違うかというと、熊の置物と工業デザインくらい違うのですよ。
『自分と向き合っているのか』あるいは『外と向き合っているのか』の違いというかね。


俺は浪花酒造が企業でなく従来の日本酒蔵であったとしたならば、常習的なスピード違反者がたまたま捕まったくらいの感覚です。
だけど、企業であったとしたなら、ちょっとどうしようもないというか、そんな些細な事で立ち行かなくなったら企業としての使命は果たせなくなるよね、と。
まー、どっちにしてもよ、騙す意図を持って経営したのであれば、ものづくりをする資格は無いっちゃ無いんだけど、魔が差したのならしゃーないかな、とも思わんでもない。


ま、たぶんここまでの俺の考えで「congiroは間違っている!」と思う人もいるでしょうな。
だけど冒頭で述べたように、理念やモラルレベルの視点だったら基準が存在しないんだから、俺もお前らも間違ってはいないのよ。
「法的にはダメ!」とはちゃんと言ってるからね、俺。
なんか違う思いがあるならお前らが勝手にブログでも立ち上げて書けばいいさ。




そしてここからが大脱線だ。
浪花酒造に関しては、信実と事実のほどは分からん。だが、報道されてしまったら一般にはそれが全てだ。
そして俺は酒に関わる業界の人で、酒に対して一家言あってなおかつ普段偉そうにしている人たちは、この件に関してだんまりではなくて、なにかしら態度を表明した方がいいんじゃないか?と思うわけですよ。
別にさ、直接の関係者でもないだろうからそんな責務無いと思うけど、普段偉そうに言ってるのであれば何か言ってもいいんじゃないの?とね。
だって日頃から「酒に感謝せえ」ばりに敬意を払えだなんだ言うじゃない。
俺からすりゃ他の物と同様にイチ商品でしかないのに、酒は偉大なる嗜好品であり即ち神からの贈り物とでも言わんばかりに主張するじゃない。
直接関係が無かったとしても、そこに火の粉が飛んできたわけよ。
もちろん、この一例だけで全ての酒蔵がそうであるとは言えんのは十分承知しとけどよ。
それは踏まえた上でも、「お前らの業界は真面目にやってないくせになんで消費者側に不遜な態度取るんじゃ!」と思われてもおかしくはないよね。
少なくとも造り手・売り手で普段の発言が偉そうな人は、この件に関して何らかの発言があってもいいと思うのよ。
「ウチでは絶対やってないし、そんな事は絶対やらん!そういうことがおこらないように内外ともに協力して取り組む!」みたいな、テンプレート的な発言でも構わんと思うのよ。
何もしないで風化を待つだけだったら、業界内部ではまたこういうこと頻繁に起きるよ。
「どうせ日本酒蔵なんてそんなとこばっかでしょ。この件も氷山の一角でしょ。」とか思われても別になんとも思わないの?
特に日本酒造組合中央会*1からはなんかあってもいいんじゃないのか?
こういうときに酒蔵全体を守ったりはしないの?
このブームに水をさす状況に釈明とかないの?
なんでこういうときでも山の如しなの?
まさに対岸の火事って感じだよね。



日本酒蔵は中規模や小規模が多い。企業の体を成してない所は多いと思う。
企業ではないが故にコンプライアンスという概念を持ちづらい環境であるならばだ。
業界が、愛好家が、コンプライアンスの感覚を持てばいい。
そのためにはどうすればいいのか?
簡単なことだ。いつまでも事例として伝えていけばいいのだ。
人間である以上は時が経てば忘れるのよ。
同じ内容であっても何度も何度も言い続けていないと人は忘れるのよ。


沈黙は金じゃない。
沈黙は黙認であり、黙認は暗なる肯定だ。*2


何らかの気持ちがあるのなら、こういう場面で黙るな。
何らかの気持ちがあるのなら、こういう場面でこそ改善のために声を上げれよ。



最後。
しつこいけども、俺がこの蔵に思うこと。


法が裁いて、市場が判断すればいいです。


おわり。

*1:少なくとも『日本酒』『國酒』検索で即引っかかるレベルのところは影響力考えてもなんかコメント有っても良い

*2:俺基準